Issuer Credit Research

Issuer Flash: Bank of China Limited

Issuer Flash: Bank of China Limited

Report date: 2026-09-02 Event date: 2026-08-28 Event title: H1 2026 Interim Results

1. Flash Conclusion

Bank of China Limited(「BOC」)のH1 2026決算は、シニア債発行体としての信用見通しが概ね安定しているとの評価に沿う内容となった。営業収益は前年同期比8.41%増のRMB357.1bn、株主帰属利益は5.10%増のRMB123.6bnとなった。純金利収益は10.20%増加し、NIMは1.27%と前年同期比1bp上昇した。資金調達コストの低下と業務効率の改善が収益を下支えしたものの、これをもって利鞘圧力が持続的に反転したとはまだ判断できない。NIMは依然として低水準であり、ROAとROEはそれぞれ0.67%、8.66%と前年同期比で低下した。

表面的な資産健全性は安定ないし小幅に改善した。Group NPL ratioは1.22%とend-2025の1.23%から低下し、special-mention ratioも1.47%から1.44%へ低下した一方、引当カバレッジは200.37%から200.85%へ上昇した。ただし、留意すべきはストレスの内訳である。住宅ローン、個人事業者向けローン、クレジットカードのNPL ratioはいずれも上昇した一方、不動産企業向け融資のNPL ratioは6.26%から6.10%へ低下したものの、なお高水準にある。今回の開示は広範な信用悪化を示すものではないが、Group全体のNPL ratioだけに依存せず、家計および小規模事業者のストレスを追跡する必要性を改めて示している。

資本、流動性、TLACは、開示された健全性指標上では引き続き支援材料であるが、リスクアセット(RWA)の拡大に伴い資本比率は低下した。CET1、Tier 1、総自己資本比率はそれぞれ12.04%、13.65%、18.31%で、end-2025の12.53%、14.34%、18.85%から低下した。H1 Pillar 3開示では、LCRは138.60%、NSFRは126.86%、resolution-group TLAC risk-weighted ratioは21.66%と、同レポートで開示された総所要水準20%(16%のexternal-TLAC ratioと4%のcapital bufferで構成)を上回った。これは開示された規制指標であり、自由に利用可能な余力や、すべての金融商品についての回収率を示すものではない。親銀行のシニア債については、預金基盤、開示上の流動性、制度的重要性が引き続き信用上のプラス要因である。一方、国有であることやG-SIBであることは、明示的な政府保証の存在を意味しない。支援および回収可能性の分析は、引き続き発行体・商品ごとに行う必要がある。資本比率の低下と普通株中間配当の増額案を踏まえると、劣後債およびTLAC投資家にとって、RWAの増加、内部留保、資産健全性が主要なモニタリング項目となる。本flashは、親銀行のシニア債と、非資本性TLAC、Tier 2、AT1、海外支店債務、子会社債務を区別して評価する必要性を変更するものではない。

2. H1 Results: Earnings, Funding and Balance-Sheet Growth

総資産はRMB40.19tnとend-2025比4.77%増加した。顧客向け総貸出と預金はそれぞれRMB24.74tn、RMB26.83tnで、end-2025時点のRMB23.45tn、RMB26.18tnから増加した。国内loan-to-deposit ratioは88.2%から90.3%へ上昇しており、貸出拡大が続く中、その方向性には注意が必要である。

純金利収益はRMB236.7bnと前年同期比RMB21.9bn増加した。BankはNIMの1bp改善を負債サイドのコスト管理によるものとしており、cost-to-income ratioは25.11%から23.43%へ低下した。ただし、貸出利回りにはリプライシングと市場金利低下による圧力が引き続きかかっており、1.27%のNIMはBOCの2023年水準である1.59%をなお下回っている。H1の結果は、利鞘圧力が構造的に解消したというよりも、安定化と捉えるのが妥当である。

Boardは、株主承認を条件として、税引前で10株当たりRMB1.190の普通株中間配当を提案した。前年同期はRMB1.094であった。これ自体はネガティブな信用イベントではないが、RWAの増加、減損需要、内部的なCET1創出力を重要なモニタリング項目とする。

3. Asset Quality: Headline Stability, but Household Indicators Worsened

GroupのNPLは2026年6月30日時点でRMB301.8bnと、end-2025からRMB13.8bn増加したが、貸出増加によりNPL ratioは1bp低下して1.22%となった。貸出減損損失引当金はRMB29.0bn増加してRMB606.2bnとなり、カバレッジは48bp上昇して200.85%となった。Stage 2残高はRMB552.2bn、貸出総額の2.24%であり、special-mention ratioは1.44%へ低下した。開示されたNPL ratio、カバレッジ、special-mentionの各指標を見る限り、急激かつ広範な悪化は示されていない。ただし、より脆弱な貸出コホートを監視する必要性がなくなったわけではない。

中国本土の企業向け融資では、不動産向け融資残高がRMB948.5bnへ減少し、不動産NPL ratioも6.26%から6.10%へ改善したものの、開示されたセクターの中では引き続き最も明確な弱点となっている。商業・サービス業、製造業、建設業、公益事業のNPL ratioはそれぞれ1.09%、0.86%、1.33%、1.63%であった。したがって、H1開示からは、不動産セクターの問題がこれら企業セクターへ広範に波及していることは確認されない。

個人向け信用指標については、より慎重なモニタリングが必要である。住宅ローンのNPL ratioは0.60%から0.96%へ、個人事業者向けローンは1.95%から2.04%へ、クレジットカードは2.18%から2.37%へ上昇した。個人消費者向けローンは2.11%と高水準にとどまったが、end-2025の2.18%からは小幅に低下した。これらの動きは、BOCの規模、引当、預金基盤、開示上の健全性を踏まえればシニア債の信用見通しを覆すものではないが、より広範なGroupレベルの悪化が顕在化する前に、家計および小規模事業者のストレスが表面化し得るとの従来の懸念と整合的である。BOCの国有性とシステミックな役割は制度的な信用要因ではあるが、Bankまたはその関連会社の債務に対する明示的な政府保証が確認されているわけではない。

2026-05-30のadditional discussionでは、波及、地方政府リファイナンス、外貨市場アクセスに関する仮説を特定した。H1ではNIM、credit costs、RWA、一部貸出に関するモニタリングデータが提供されたが、これらを検証するために必要な詳細なLGFVエクスポージャー、条件変更、通貨別流動性、債券価格の情報は開示されていない。したがって、これらは引き続き未確認である。

4. Capital, Liquidity and TLAC Read-Through

RWAはend-2025のRMB20.93tnからRMB22.28tnへ増加した。CET1 capitalの純額はRMB2.68tnへ増加したが、CET1 ratioは49bp低下して12.04%、Tier 1 ratioは69bp低下して13.65%、総自己資本比率は54bp低下して18.31%となった。H1 Pillar 3 reportでは、BOCは引き続きG-SIBのbucket 2およびD-SIBのbucket 4に分類され、より高い1.5%の追加資本要件が適用されている。内部資本創出力を評価する際には、絶対額としての利益増加よりも、資本比率の方向性の方が重要である。

流動性は、開示された健全性指標上では引き続き強固であったが、end-2025からは低下した。LCRは150.60%から138.60%へ、NSFRは127.75%から126.86%へ低下した。利用可能TLACはRMB4.83tn、resolution-group TLAC risk-weighted ratioは21.66%で、Pillar 3 reportで開示された総所要水準20%を上回った。この20%は16%のexternal TLAC ratioと4%のcapital bufferで構成される。開示資料ではこれとは別に1.5%のG-SIB/D-SIB追加資本要件が示されているが、本flashではこの追加資本要件と20%のTLAC算式との規制上の関係を再構築していない。開示比率はresolution-groupレベルでの規制上の損失吸収力を支持するものではあるが、BOCブランドのすべての商品が同等であることや、個別証券の回収結果を示すものではない。債券投資家は、親銀行のシニア債権と損失吸収を目的として設計された商品を引き続き区別するとともに、海外支店、BOCHK、BOC Aviation、その他子会社が発行する債務とも区別する必要がある。

5. What To Watch Next

6. Sources