Issuer Credit Research

発行体フラッシュ:Nomura Holdings, Inc.

発行体フラッシュ:Nomura Holdings, Inc.

レポート日:2026-11-02 イベント日:2026-10-28 イベント名:FY2027第2四半期・上期決算

1. Flash Conclusion

Nomuraの9月期決算は、6月期に極めて好調だったWholesale部門の収益が正常化する一方、Wealth ManagementおよびInvestment Managementを中心とする事業基盤が引き続き大きな利益貢献を果たせることを示した。グループの純営業収益はJPY607.5bnとなり、前四半期比12%減少したものの、前年同期比では18%増加した。親会社株主に帰属する純利益は前四半期比29%減のJPY103.7bnとなった一方、前年同期比では13%増加した。6月期のピークからの減益は、異例の好業績をそのまま将来に延長して予測することへの警戒を促すものであり、基礎的な信用評価の悪化を示すものではない。

最も前向きに評価できる材料は、Wealth Management部門におけるストック収益への継続的なシフトである。同部門では、ストック収益資産がJPY755.4bn純増し、ストック収入はJPY66.7bn、ストック収入による費用カバー率はQ1の76%から79%に上昇した。これらの数値は、国内顧客基盤の深化が収益の下支え水準を引き上げ得るという従来の見方を裏付ける。ただし、資産残高に連動する手数料収入は、引き続き市場価格や顧客の取引動向の影響を受ける。一方、Wholesale部門の税引前利益はQ1から約半減しており、市場性資金調達に依存する金融持株会社として、市場環境に対する感応度が依然として高いことを示している。

今回の決算は、発行体に対する信用評価の引き上げではなく、従来の「保有継続・モニタリング」という判断の維持を支持するものである。ただし、9月末時点の健全性規制上の指標および持株会社の資金調達状況を確認することが前提となる。閲覧可能だった発行体の決算ハイライト資料には、9月末時点の自己資本、流動性、TLAC、法人別の資金調達に関する指標が示されておらず、リンク先の詳細な財務資料も今回の調査では閲覧できなかった。前回のフラッシュレポートに記載された6月末の指標は過去の参照値にすぎず、9月末時点の財務余力を裏付けるものではない。持株会社発行のシニア債の保有者は、引き続き子会社からの配当・資金還流能力、市場性資金調達、および個々の損失吸収商品に適用される条件に起因するリスクにさらされている。

2. Results and Operating Mix

9月までの上期累計では、純営業収益がJPY1,294.2bn、税引前利益がJPY359.5bnとなり、それぞれ前年同期比25%、21%増加した。親会社株主に帰属する純利益は前年同期比27%増のJPY249.3bnとなり、年率換算ROEは13.3%だった。ただし、これらの上期累計数値には異例の好業績となった第1四半期が含まれるため、年率換算したベースケースとして扱うべきではない。Q2の年率換算ROEは10.9%で、Q1の15.4%から低下した。

指標 Q2 FY2027 比較・信用評価上の意味
純営業収益 JPY607.5bn 前四半期比12%減、前年同期比18%増
税引前利益 JPY148.0bn 前四半期比30%減、前年同期比8%増
親会社株主に帰属する純利益 JPY103.7bn 前四半期比29%減、前年同期比13%増
Wealth Management部門の税引前利益 JPY65.6bn 前四半期比8%減、前年同期比44%増
Investment Management部門の税引前利益 JPY27.4bn 前四半期比39%減、前年同期比11%減
Wholesale部門の税引前利益 JPY46.1bn 前四半期比51%減、前年同期比13%減
Banking部門の税引前利益 JPY4.4bn 前四半期比20%増。ただし、利益貢献は相対的に小さい

発行体によると、主要4部門の税引前利益合計はJPY143.4bnとなり、前四半期比33%減、前年同期比8%増だった。連結税引前利益との差額は、その他の事業および調整項目によるものである。この区別は重要である。部門別利益は収益構成を理解するうえで有用だが、債権者への返済能力は、より広範なグループ全体および個々の法人の財務状況に左右されるためである。

3. Credit Read-Through

Wealth Management部門の収益は前年同期比22%増のJPY141.5bn、税引前利益は同44%増となったが、いずれもQ1からは減少した。ストック収益資産の純増額とストック収入がともに過去最高となったことは、国内顧客基盤をより持続性の高い収益源へと転換する取り組みが進展していることを示している。ストック収入による費用カバー率79%は、顧客資産残高そのものよりも収益耐性を評価するうえで有意義な指標である。これは、取引に伴う収益を考慮する前の段階で、部門の費用基盤のより大きな割合をストック収入で賄えることを示唆している。ただし、ストック収入は保証された収益ではない。市場環境が悪化すれば、顧客資産残高、資金流出入、手数料収入が同時に減少する可能性がある。

Investment Management部門の四半期業績は、強弱入り交じる内容となった。税引前利益はQ1のJPY45.0bnからJPY27.4bnに減少した。Nomuraは減益の一因として、投資利益の減少と統合に伴う一過性費用を挙げている一方、運用報酬は堅調に推移した。9月末の運用資産残高(AUM)はJPY152.8tnとなり、発行体が当四半期の純資金流入額をJPY478.0bnと報告したにもかかわらず、前回のフラッシュレポートに記載された6月末のJPY156.4tnを下回った。資金流入額と期末残高は異なる指標であり、公表された決算ハイライト資料には、市場価格変動、為替変動、その他の要因による増減を完全に説明する残高調整表は含まれていない。債権者にとって重要なのは、拡大したAUMを直ちに利用可能な現金とみなすことではなく、顧客基盤の持続的な維持、手数料率、および統合費用の動向である。

Wholesale部門の税引前利益は、第1四半期のJPY93.3bnからJPY46.1bnに減少した。Global Marketsの収益はJPY254.2bnとなり、過去最高を記録した前四半期から正常化した一方、Investment Bankingの収益はJPY54.7bnだった。前四半期比の減収は、例外的に好調なトレーディング収益を安定的な収益水準とみなすべきではないという従来の警戒的な見方と整合的である。ただし、この減収自体が事業基盤の競争力低下や自己資本上の問題を示すわけではない。Wholesale部門は引き続き黒字を維持しており、発行体は株式関連ビジネスの継続的な好調さに加え、アドバイザリー、ファイナンス、ソリューション分野の増収を報告している。信用評価上の焦点は、市場環境が悪化した局面でも、バランスシートの使用量と資金調達需要を抑制しながら、一定水準の利益を維持できるかどうかにある。

Banking部門の規模は引き続き相対的に小さく、税引前利益はJPY4.4bnだった。発行体は、Nomura Trust and Bankingの貸出残高がJPY1.361tnとなったこと、および預金スイープ事業の拡大を報告している。これらの進展は、中長期的には資金調達源と収益源の多様化につながる可能性がある。ただし、公表された部門別決算だけでは、銀行預金が持株会社の債務の資金調達原資となっていることや、規制対象となる法人間で資金を自由に移転できることまでは確認できない。

Nomuraは中間配当を1株当たりJPY35とし、前年同期のJPY27から増配した。この増配は内部留保による資本蓄積を評価するうえで重要だが、閲覧可能な決算ハイライト資料だけでは、配当総額、自己株式取得、資本増減を包括的に把握できる情報は得られない。前回のQ1フラッシュレポートでは、6月末の暫定値としてCET1比率12.9%、Tier 1比率14.7%、総自己資本比率15.6%、LCR196.9%を記載したが、これらを9月末の実績値として扱うことはできない。利益による資本蓄積がリスクアセット、レバレッジ、株主還元に見合う水準で進んだかを評価するには、9月末時点の詳細な自己資本規制および流動性に関する情報を確認する必要がある。

4. What To Watch Next

Q2の詳細な決算短信および決算説明資料を入手し、9月末時点のRWA、CET1、Tier 1、総自己資本、レバレッジ、HQLA、LCR、TLACを、6月末の確定した規制開示数値と照合する必要がある。連結ベースの資金を持株会社の債権者への返済に利用可能な資金とみなす前に、法人別の流動性および資金調達の満期構成を確認すべきである。Wealth Management部門についてはストック収入による費用カバー率と顧客資産の増加、Investment Management部門については顧客維持率、手数料収入、統合費用、Wholesale部門については市場環境がより厳しい四半期における収益、市場リスク、資本使用量を継続的にモニタリングする。個別債券について投資判断を下す際には、現在の市場価格に加え、発行体、債務の弁済順位、TLAC適格性、および破綻処理時の適用条件を確認する必要がある。

5. Sources