Issuer Credit Research

Issuer Flash: Shinhan Bank

Issuer Flash: Shinhan Bank

レポート日付: 2026-10-29 イベント日付: 2026-10-27 イベントタイトル: 2026年3Q決算:銀行の財務バッファーは改善する一方、預金構成は悪化

1. Flash Conclusion

Shinhan Bankの2026年3Q開示情報は、同行のシニア債に対する信用評価が概ね安定しているとの見方を裏付ける。預金受入業務を行う銀行事業体では、不良債権残高が減少し、NPL引当カバレッジ比率が回復するとともに、銀行単体の規制自己資本が強化された。これらの改善により、カバレッジ比率がアナリストの既存のモニタリング目安である150%に接近していた8月のFlashで指摘した短期的な懸念は緩和された。ただし、借入主体全般の信用状態や資金調達環境が一貫して改善していることを示すものではない。個人向け貸出の延滞率は小幅に上昇し、低コスト預金比率は低下したほか、利益は前年同期比で増加したものの、前四半期比では減少した。

Shinhan Bankは、持株会社であるShinhan Financial Group(SFG)とは別の事業体である。以下に示す銀行金融サブグループの利益は、Fact Bookに記載された支配株主帰属ベースの連結業績であり、SFGグループ全体の利益でも、銀行法人単体の純粋なスタンドアロン利益を示すものでもない。一方、規制自己資本、国内預金および流動性については、それぞれ明示された銀行固有の指標を使用している。この区別は、銀行シニア債、持株会社債務および資本性証券の信用評価において重要である。

2. Source-defined bank indicators

以下の今回開示資料に基づく比較では、自己資本比率とNPL引当カバレッジ比率が上昇する一方、国内の資金調達構成が悪化していることが確認できる。利益指標は各四半期の実績を示し、残高指標は期末時点の数値を示す。ただし、開示されたLDRについては算出方法が異なる。

指標 2026年6月/2Q 2026年9月/3Q 信用評価上の解釈
銀行サブグループの支配株主帰属利益、KRW bn 1,301.4 1,225.2 前四半期比5.9%減、前年同期比では12.5%増
信用損失引当金繰入額、KRW bn 149.6 182.0 四半期の引当負担が増加
銀行NPL比率 0.31% 0.29% 不良債権残高比率が低下
銀行NPL引当カバレッジ比率 153.4% 162.5% 従来のアナリストによる150%の目安を上回る水準に回復
中小企業向け貸出延滞率 0.49% 0.42% 信用環境に敏感な借入主体セグメントで改善
銀行規制CET1比率、暫定値 14.95% 15.43% 比率が上昇。自己資本とRWAの双方が寄与
国内LDR 92.2% 94.4% 6月と比べ預金による余裕が縮小
国内預金に占める低コスト預金比率 43.4% 41.0% 資金調達構成が悪化
全通貨/外貨LCR 104.5% /177.5% 104.8% /203.7% 開示された流動性比率が改善

出所:SFGの3Q決算説明資料5、10-11、19、24-26ページ、および3Q Fact Bookの銀行関連ワークシート。CET1の比較には、以前の速報資料ではなく、今回のFact Bookに記載された6月末の比較数値を使用している。直近の数値は暫定値である。LDRは譲渡性預金を除く月中平均残高に基づいて算出されており、期末貸出残高を期末預金残高で単純に除したものではない。

3. Earnings and asset quality: a better stock position, with limits

銀行サブグループの9カ月累計の支配株主帰属利益は、前年同期比9.8%増のKRW 3,683.7bnとなった。ただし、累計業績が改善する一方で、3Qの利益は減少した。非金利収益が前四半期比40.7%減のKRW 221.1bnとなり、引当金繰入額が21.7%増加したためである。決算説明資料に記載された利息収益指標は2.3%増のKRW 2,541.5bnとなり、利益を下支えしたものの、これらの変動を完全には相殺できなかった。銀行は開示された四半期の信用コストを吸収するのに十分な収益力を維持しており、四半期利益の減少だけをもって構造的な収益力の悪化を示す証拠とはならない。

利鞘と収益の定義には注意が必要である。Fact Bookに記載された銀行の四半期NIMは、約1.61%から1.58%に低下した。Fact BookのNIMベースの純金利収益は、決算説明資料に記載された会計上の利息収益指標とは異なる方法で算出されている。このため、両系列を接続して利益変動の要因分析を構築すべきではない。一方、利鞘の縮小と預金構成の変化を踏まえると、銀行の預金基盤を維持するための資金調達コストを継続的に監視する必要がある。

銀行のNPL残高はKRW 1,229.3bnからKRW 1,148.0bnに減少した一方、貸倒引当金残高もKRW 1,885.6bnからKRW 1,865.6bnに減少した。したがって、カバレッジ比率の改善は、主として引当金残高の増加ではなく、分母である不良債権残高の縮小によるものである。3Qの銀行の債権償却・処分額は合計KRW 385.7bnとなった。これは不良債権残高の減少を理解するうえで重要だが、入手可能な数値だけでは、NPLへの流入、正常化、回収および処分を完全に説明する増減分析は構築できない。また、不良債権残高の減少がすべて債務者の信用状態の正常化によるものと証明されているわけではない。

延滞率の動向は一様ではない。銀行全体の延滞率は0.34%から0.29%に低下し、中小企業向け貸出の延滞率も改善した一方、SOHO向けは約0.47%で横ばいとなった。個人向け貸出の延滞率は0.25%から0.26%に、住宅ローン延滞率は0.19%から0.21%に上昇した。決算説明資料では、建設業向けの改善にもかかわらず、SOHOの不動産・賃貸業向け延滞率が0.31%から0.34%に上昇したことも示されている。これらの水準は、銀行全体で直ちに深刻な信用問題が発生していることを示すものではない。しかし、全体の延滞率低下をもって、不動産関連の借入主体に対する懸念が解消したと判断することはできない。従来のカバレッジ比率150%という目安は、あくまでアナリストによるモニタリング上の基準であり、格付機関や規制当局が定めたトリガーではない。

4. Capital and funding implications for creditors

Fact Bookの銀行固有の自己資本系列によると、CET1資本はKRW 35.866tnからKRW 36.218tnに増加する一方、RWAはKRW 239.883tnからKRW 234.657tnに減少した。両者の寄与により、CET1比率は約48bp上昇して15.43%となった。この改善をすべて内部留保の積み上がりによるものと解釈すべきではない。開示された総BIS自己資本比率も17.68%から18.04%に上昇した。これらの銀行固有の暫定的な規制自己資本指標は、損失吸収力を評価するうえで有用な根拠となる。ただし、SFGの連結グループ自己資本比率と置き換えてはならず、特定の証券に対する契約上の保護と説明することも適切ではない。

国内ウォン建て貸出残高は1.4%増のKRW 345.249tnとなった一方、決算説明資料の定義による預金残高は0.5%減のKRW 353.050tnとなった。低コスト預金は6.1%減のKRW 144.602tnとなり、ウォン建て社債・金融債残高はKRW 27.005tnからKRW 31.103tnに増加した。この組み合わせは、LDRが100%を下回っている状況でも、低コスト預金による資金調達面の余裕が縮小していることを示す。これは資金調達コストと調達手段の選択に関するモニタリング事項であり、直ちに流動性不足が生じていることを示す証拠ではない。

LCRの改善は、それぞれの指標の定義の範囲内では安心材料となる。ただし、全通貨LCRの104.8%という水準を、期間別の流動性状況に関する包括的な評価や、特定の外貨建て債券の償還に充当可能な余剰流動性と混同すべきではない。NSFR、通貨別の満期ミスマッチ、ヘッジ、利用可能な担保および借換調達コストについては、本稿では確認できていない。また、決算説明資料の国内預金残高と、銀行貸借対照表に記載されたより広範な預金残高についても、対象範囲を照合せずに組み合わせるべきではない。

シニア債権者にとって、自己資本と不良債権の状況改善は、従来の安定的な信用評価を維持する根拠となる。グループの株主還元方針や銀行以外の事業リスクは、引き続き資本政策の柔軟性に影響する要因であるが、それによって銀行債務と持株会社債務が同等になるわけではない。システム上の重要性は、政府による明示的な保証を意味しない。カバードボンド、Tier 2およびAT1については、それぞれ固有の法的条件、担保または損失吸収メカニズムの分析が必要であり、銀行シニア債に対する結論を自動的に適用することはできない。

5. What To Watch Next

次回の開示では、回復したカバレッジ比率が維持されるか、中小企業向け貸出の改善が持続するか、個人向けおよびSOHO向けの不動産関連与信に対する圧力が安定化するかを確認する必要がある。不良債権残高比率の変化を借入主体の信用状態の実質的な改善と解釈する前に、NPLへの新規流入、償却、処分および引当金の増減を照合すべきである。CET1資本とRWAを個別に追跡するとともに、暫定比率の確定状況およびグループ全体の資本需要を監視する。

資金調達面では、低コスト預金残高、LDR、利鞘および国内金融債の利用状況を、全通貨・外貨の両LCRと併せて監視する。預金構成の悪化、資金調達コストの上昇、資産健全性の再悪化および自己資本の減少が持続的に重なる場合、単独の四半期指標が悪化する場合よりも信用上の重要性は高い。個別証券の投資判断にあたっては、現行の債券条件、格付機関の原評価および足元の類似銘柄の市場価格を引き続き確認する必要がある。本Flashは、スプレッド面の優位性や新たな格付判断を示すものではない。

6. Sources