Issuer Credit Research

Issuer Flash: Tenaga Nasional Berhad

Issuer: Tenaga Nasional | Document: Issuer Flash | Date: 2026-05-29 | Event: 1qfy2026 Results

Report date: 2026-05-29 Event date: 2026-05-25 Event title: 1QFY2026 Results

1. Flash Conclusion

Tenaga Nasional Berhad(TNB)の1QFY2026決算は、現行サマリーの信用見方を変えるものではない。中核的な規制電力会社として、需要増、RP4の料金制度、規制関連債権の減少、資本市場アクセスが信用力を支えていることを確認する内容だった。売上高は前年同期比6.6%増のRM17.10bn、EBITDAは6.5%増のRM5.52bn、会社公表のコア利益は6.5%増のRM1.24bnとなった。

ただし、債券投資家にとっての読み方は「利益が伸びたので安心」では足りない。需要増を取り込むためには、系統増強、発電、再生可能エネルギー、データセンター接続への投資が続く。1QFY2026の設備投資は約RM3.3bn、2026年通期見通しは約RM18bnで、総債務も2025年末のRM59.1bnからRM60.5bnへ増えた。純債務改善は前向きだが、満期対応と投資負担を踏まえると恒久的なレバレッジ低下とはまだ見ない。

結論として、今回の決算はTNBの信用を前向きに確認する材料である。ただし、現行サマリーで示した「支援込みの強い公益信用だが、AFAの現金化、設備投資回収、借換、個別債の法的保護は継続監視」という判断は維持する。

2. 公表内容

TNBは2026年5月25日、2026年3月31日に終了した1QFY2026の未監査決算を公表した。会社側は、電力販売の増加、商業部門の需要、RP4の料金制度が業績を支えたと説明している。

グループの総販売電力量は35,509.6GWhで、前年同期比6.2%増加した。このうちTNB本体は33,709.7GWhで、前年同期比7.0%増だった。TNB本体では、商業部門が13.0%増の13,170GWh、家庭部門が9.7%増の9,405GWhだった一方、工業部門は2.1%減の9,508GWhである。商業部門の伸びは、データセンター、小売、事業サービスが主因である。

損益は安定した改善だが、EBITDAの伸びに比べて税引前利益の伸びは小さい。減価償却費、金融収益の減少、資金調達費用、税金費用の影響が残り、利益成長がそのまま余剰現金の厚みに直結しにくい点は変わらない。

3. 信用上の読み方

第一に、需要の伸びは信用力にとって前向きである。規制公益会社であるTNBにとって、需要増は売上高、規制資産、設備投資回収の土台になる。会社側も2026年の需要成長見通しを4.5%-5.5%のレンジへ引き上げている。ただし、データセンター需要は大口接続や送配電網の整備を伴うため、収益増と投資先行を同時に見る必要がある。

第二に、AFAとRP4の効き方は、今回の決算でやや安心材料になった。規制関連債権は2025年末のRM1.9bnからRM0.7bnへ低下し、売掛金も前年同期比では低下した。会社はICPT支払いの受領とAFA枠組みによる回収効率を示している。ただし、1QFY2026は燃料価格低下の影響も大きく、ストレス局面でのAFA現金化はまだ未検証である。

第三に、資本調達面は強いが、資金需要も重い。TNBは規制設備投資のためのRM10.0bnのイスラム中期債プログラムを設定し、TNB GencoとTNB Renewablesもスクークを発行した。資本市場アクセスは確認できる一方、外部資金に依存する構造も続く。

総合すると、今回の決算は現行サマリーの信用判断を「安定寄り」に補強する。短期的な悪化リスクは高まっていないが、信用水準を引き上げるより、既存見方を確認する材料である。

4. 主要数値

指標 比較時点 2026年3月末または1QFY2026 信用上の読み方
売上高 RM16.04bn RM17.10bn 商業部門と料金制度が支え、前年同期比6.6%増
EBITDA RM5.19bn RM5.52bn 会社定義のEBITDAマージンは34.0%へ上昇
会社公表のコア利益 RM1.17bn RM1.24bn 一過性調整後の利益は6.5%増
親会社株主帰属利益 RM1.06bn RM1.10bn 改善は小幅だが、信用見方を損なう内容ではない
総販売電力量 33,431.0GWh 35,509.6GWh 需要は6.2%増、商業部門が主な支え
設備投資 RM3.20bn RM3.26bn 投資負担は高水準、2026年通期見通しは約RM18bn
総債務 RM59.1bn RM60.5bn 投資と資金需要を反映して増加
純債務 RM46.1bn RM44.5bn 純債務ベースでは改善
規制関連債権 RM1.9bn RM0.7bn AFA/RP4の現金化を見るうえで前向き

5. 次に確認すること

次回確認の中心は、AFAの現金化が燃料費上昇局面でも続くかである。1QFY2026は燃料価格低下の影響があり、制度の耐性を試した四半期ではない。次回決算では、AFA/ICPTの過不足、規制関連債権、売掛金、契約資産、営業キャッシュフロー、短期借入を一体で確認する。

設備投資と調達も継続監視する。規制資産として認められる範囲、RABへの算入時期、許容リターン、スクーク発行後の債務年限、2026年と2028年の満期対応を確認する。

未使用コミットメントライン、短期債務内訳、外貨債務のヘッジ、個別債の保証・担保・コベナンツは、今回の公式説明資料だけでは十分に確認できていない。今回解消した未確認事項は、FY2026第1四半期の公式決算公表に限られる。

6. Sources

  1. Tenaga Nasional Berhad, "Financial Unaudited Results - 1QFY2026", 25 May 2026. 決算公表日、未監査四半期決算、主要損益指標を確認。
    https://www.tnb.com.my/assets/quarterly_results/Financial_Unaudited_Results_-_1QFY2026.pdf

  2. Tenaga Nasional Berhad, "Analyst Briefing - 1QFY2026", 26 May 2026. 需要、部門別販売電力量、AFA/ICPT、規制関連債権、設備投資、債務・調達を確認。
    https://www.tnb.com.my/assets/quarterly_results/Analyst_Briefing_-_1QFY2026.pdf

  3. Tenaga Nasional Berhad, "TNB Remains Resilient, Focuses On Stable Supply And Value For The Rakyat", 25 May 2026. 経営陣コメント、需要見通し、電力供給・インフラ投資の説明を確認。
    https://www.tnb.com.my/announcements/tnb-remains-resilient-focuses-on-stable-supply-and-value-for-the-rakyat