Issuer Credit Research

Mirae Asset Securities Issuer Summary

Issuer: Mirae Asset Securities | Document: Issuer Summary | Date: 2026-05-13

Report date: 2026-05-13
Issuer: Mirae Asset Securities Co., Ltd.
Relevant bond context: Mirae Asset Securities senior unsecured and foreign-currency bond investors; issuer-level credit view, not a recommendation on a specific bond issue

1. Business Snapshot and Recent Developments

Mirae Asset Securities Co., Ltd.(以下、Mirae Asset Securities)は、Mirae Asset Financial Group全体そのものではなく、韓国を本拠とする大手証券会社である。信用分析上は、預金・貸出を中心とする商業銀行ではなく、顧客資産、ブローカレッジ、ウェルスマネジメント、退職年金、トレーディング、投資銀行、自己勘定投資、海外証券子会社を組み合わせる市場型金融発行体として見る必要がある。債券投資家にとっての中心論点は、同社の大きな顧客基盤と資本市場アクセスが、自己勘定投資、不動産・代替投資、構造化商品、レポ・CP・短期借入など市場性資金調達の変動性をどこまで吸収できるかである。

会社の公式会社概要ページでは、2025年12月末時点の連結ベースで、総資産150.3兆ウォン、資本13.5兆ウォン、顧客資産601.6兆ウォンが示されている。2025 Integrated Reportでは、2025年3月末時点で総資産132.8兆ウォン、資本12.3兆ウォン、顧客資産405.3兆ウォン、主要市場として香港、米国、ロンドン、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシア、ブラジル、モンゴルが挙げられている。

同社の直近の信用上の変化は、2025年通期と2026年1Qに収益力が大きく改善したことである。公式XLSXの四半期連結列を合算すると、2025年の営業利益は約1.92兆ウォン、親会社株主帰属純利益は約1.57兆ウォンとなり、2024年の営業利益約1.19兆ウォン、親会社株主帰属純利益約0.92兆ウォンから明確に増加した。2026年1Qは監査前資料ではあるが、営業利益約1.38兆ウォン、親会社株主帰属純利益約1.00兆ウォンと極めて強い四半期になった。もっとも、証券会社の収益は市場出来高、株価・金利・為替、評価損益、トレーディング環境に大きく左右されるため、2026年1Qを単純に年率化して恒常利益とみなすべきではない。

事業基盤の側では、WM商品残高、退職年金、ブローカレッジ資産が拡大している。公式factsheetによれば、WM商品残高は2025年末211.1兆ウォン、2026年1Q末224.0兆ウォン、退職年金は2025年末38.1兆ウォン、2026年1Q末42.4兆ウォン、ブローカレッジ資産は2025年末306.9兆ウォン、2026年1Q末357.6兆ウォンである。これらは、Mirae Asset Securitiesの収益が単なる自己勘定取引だけでなく、顧客資産・年金・海外株取引・金融商品販売に支えられていることを示す。

海外展開も発行体像を変える。2025 Integrated Reportによれば、同社は香港、米国、英国、シンガポール、インド、ベトナム、インドネシア、ブラジル、モンゴルなどに子会社・拠点を持つ。インドではSharekhan取得により顧客数310万人超、130超の支店、4,400超のビジネスパートナーを取り込んだ。長期的には海外WM・ブローカレッジ収益を広げるが、買収統合、現地規制、収益性、資本配賦は監視項目である。

格付面では、S&P Global Ratingsが2025年6月24日に、Mirae Asset Securitiesの長期・短期発行体格付 BBB/A-2 を確認し、アウトルックをNegativeからStableへ戻した。S&Pは、韓国証券会社の収益改善、不動産関連リスクの管理可能性、同社の資本・流動性バッファ、最大手証券会社としての事業基盤を主な理由としている。一方で、S&Pは同社のRAC比率が今後1-2年で8.0-9.0%程度になると見込み、7%を継続的に下回る場合や、資金・流動性プロファイルが悪化する場合、企業向けローン・投資の質が悪化する場合を格下げ要因として示している。これは、足元の収益改善が格付を支えている一方、資本・流動性・リスク選好が信用評価の制約であり続けることを意味する。

したがって、同社を「韓国最大級の証券会社で利益が強い」とだけ整理しては不十分である。厚い顧客資産と事業基盤は支えだが、市場ストレス時に現金化・資金調達・損失吸収へどこまで転換できるかが核心である。2026年1Q末の総資産169.9兆ウォン、資本14.3兆ウォン、レポ・借入・顧客預り金の増加は、収益改善と同じ重みで見るべきである。

2. Industry Position and Franchise Strength

Mirae Asset Securitiesの事業基盤は、韓国国内の証券会社としての規模、顧客資産、退職年金、海外株取引、海外ネットワークの組み合わせにある。S&Pは2025年6月24日のリリースで、同社を韓国最大の証券会社と位置づけ、その強い事業基盤と多様な資金調達源が十分な資金・流動性を支えると述べている。会社の開示でも、2025年12月末時点の顧客資産601.6兆ウォン、2025年3月末時点の総資産132.8兆ウォン、資本12.3兆ウォンが示され、国内上位の証券フランチャイズであることは確認できる。

証券会社としての強みは、預金保険付きの安定預金ではなく、顧客フロー、商品販売、資産残高、年金移管、海外株取引、資本市場案件から収益を生む能力である。公式factsheetでは、2025年末の委託売買代金シェアが11.4%、手数料収益シェアが8.8%であり、2026年1Qでもそれぞれ10.7%、8.1%だった。シェアが一桁後半から一割強にあることは、国内証券市場での強いプレゼンスを示す。ただし、シェアは市場出来高や投資家構成に左右されるため、信用上は単年度の水準より、顧客資産残高、年金残高、商品残高が継続的に残るかが重要である。

退職年金とウェルスマネジメントは、収益を残高型へ近づける。2025 Integrated Reportは同社を退職年金準備金の業界首位級と説明し、公式factsheetでも退職年金は2025年末38.1兆ウォン、2026年1Q末42.4兆ウォンである。年金資産は短期売買収益より顧客維持、商品ラインアップ、運用成果、規制変更に依存し、積み上がれば市場型収益の変動を和らげる。

海外株取引とグローバル資産配分も特徴である。2025 Integrated Reportでは、海外株式残高が2022年16.5兆ウォン、2023年23.5兆ウォン、2024年40.8兆ウォンへ増えた。国内ブローカレッジと海外投資プラットフォームの接続は手数料と顧客接点を増やすが、外貨流動性、海外市場急変、顧客レバレッジ、システム、コンプライアンスの重要性も高める。

海外子会社は、収益分散とリスク分散の双方を意味する。S&Pは先進国市場での清算サービスやETF取引、インドでのWM・ブローカレッジが収益性を支えると述べている。一方、海外証券子会社は現地規制、為替、資本注入、清算・担保、オペレーショナルリスクを伴うため、成長余地だけでなく、ストレス時の親会社支援負担も見る必要がある。

投資銀行・トレーディング・自己勘定投資は、収益力と変動性を同時にもたらす。2025 Integrated Reportでは、市場メイキング、ETF・国債の流動性供給、FX、証券貸借、スワップ、IPO、社債、グローバル債、不動産PF、PEF関連案件などが示されている。これらは収益機会である一方、リスク量、評価損益、担保需要、規制資本負担を伴う。

このため、同社の業界地位は強いが、銀行の預金・貸出フランチャイズのような安定性ではない。市場アクセス、顧客資産、商品開発、リスク管理、海外展開が基盤であり、市場価格、規制、不動産、外貨流動性、構造化商品への投資家心理が悪化すれば、収益・担保・調達負担は短期間で変動し得る。

3. Segment Assessment

Mirae Asset Securitiesのセグメント評価では、会社開示上の収益区分が必ずしも信用分析に必要なリスク区分と一致しない点に注意する必要がある。本稿では、公式資料から確認できる事業機能に基づき、WM・退職年金、ブローカレッジ、トレーディング・市場業務、投資銀行、自己勘定・代替投資、海外子会社に分けて読む。信用上の問いは、どの部門が収益の下限を支え、どの部門が収益と資本の振れを大きくするかである。

事業・収益源 公式資料で確認できる主な指標・事実 信用上の読み方 主な制約
WM・金融商品・退職年金 WM商品残高は2025年末211.1兆ウォン、2026年1Q末224.0兆ウォン。退職年金は2025年末38.1兆ウォン、2026年1Q末42.4兆ウォン。 残高型・顧客基盤型収益を増やし、ブローカレッジやトレーディングの変動を和らげる可能性がある。 商品販売、運用成果、手数料率、顧客維持、規制変更に左右される。
ブローカレッジ 委託売買代金シェアは2025年末11.4%、2026年1Q10.7%。ブローカレッジ資産は2025年末306.9兆ウォン、2026年1Q末357.6兆ウォン。 韓国国内外株取引の顧客接点を支える。市場出来高が強い局面では収益に直接効く。 市場出来高、個人投資家心理、手数料率低下、システム・規制リスクに敏感。
トレーディング・市場業務 市場メイキング、ETF・国債流動性供給、FX、証券貸借、スワップ、アルゴリズム取引を展開。 利益拡大局面では強いが、評価損益、VaR、担保需要、流動性に直結する。 市場急変時の損失、マージンコール、資金調達コスト上昇が最大の変動要因。
投資銀行・資本市場 IPO、社債、エクイティリンク債、グローバル債、ライツオファリング、不動産PF、PEF関連案件。 フィー収益と顧客関係を生み、韓国資本市場での地位を補強する。 案件環境、不動産PF、引受リスク、ローンコミットメント、評判リスクに左右される。
自己勘定・代替投資 ESG投資、商業用不動産、NPL、PEF、インフラ、戦略資産へ投資。2025年は長期非流動資産の適時エグジットを優先すると説明。 収益機会を広げるが、資本消費と評価損の源泉にもなる。 海外CRE、不動産、非流動資産、下位トランシェ・エクイティ性投資はストレス時に損失吸収が必要。
海外子会社 17海外子会社と3リエゾンオフィス、Sharekhan取得、先進国ETF・清算サービス、インドWM・ブローカレッジ。 収益分散と成長余地を持つ。国内市場だけに依存しない点はプラス。 現地規制、買収統合、為替、資本注入、現地流動性、親子間資金移動制約。

注: 事業指標は2025年4Qおよび2026年1Qの公式factsheet、海外ネットワーク・Sharekhan・事業説明は2025 Integrated Reportに基づく。表は事業別の信用上の読みであり、会社が公式に開示した部門別利益表ではない。

WM・退職年金は、信用力を最も安定化させ得る。退職年金や金融商品残高は売買フローより残高に結びつき、顧客関係を長く保つ。2025 Integrated Reportは年金分野で現物移管、グローバル資産配分、長期安定成長型ポートフォリオを重視すると説明しており、これが継続収益になれば収益の質は改善する。

ブローカレッジは伝統的な強みである。ブローカレッジ資産は2025年末306.9兆ウォンから2026年1Q末357.6兆ウォンへ増え、顧客資産、市場上昇、取引活動の強さを示す。ただし、米国株相場、為替、夜間取引、信用取引、リスク許容度に左右されるため、低迷相場でも顧客資産と手数料収益が残るかを確認したい。

トレーディング・市場業務は高収益を支えるが、保守的に扱うべき部門である。金利低下、株価上昇、スプレッド縮小、顧客フローが追い風の局面では伸びる一方、市場急変時には評価損、担保差入れ、流動性需要、レポ調達のロールオーバーリスクを生む。2026年1Qの強い利益は支えだが、恒常利益とはみなさない。

投資銀行・不動産PF関連ビジネスは、収益機会とリスクが混在する。会社は不動産PF、プライベートエクイティファンド、インフラ、企業資金調達を扱っている。S&Pは2025年6月、韓国証券会社の不動産関連リスクは厳格な審査、過去数年の引当・減損、規制監督の下で管理可能との見方に変えたが、これはリスクが消えたという意味ではない。特に地域不動産、海外商業用不動産、劣後部分・エクイティ性投資は、価格下落時に資本と利益を同時に圧迫しやすい。Mirae Asset Securitiesの国内不動産ファイナンスはソウルと周辺都市中心で、厳格基準に基づく高リスクエクスポージャーは限定的とS&Pは述べているが、個別案件の詳細は本稿では未確認である。

自己勘定・代替投資は収益力を上げる一方、格付上の制約になり得る。2025 Integrated Reportでは、長期非上場資産の適時エグジットを優先し、非流動資産の保有負担を和らげる方針が示されている。債券投資家にとって重要なのは、流動化可能性、担保化、評価透明性、引当、損失吸収資本との関係である。

海外子会社は成長余地を広げるが、分析も複雑にする。Sharekhan取得はインド市場の顧客基盤を広げる一方、現地の人材、システム、コンプライアンス、商品、顧客行動を親会社のリスク管理へ統合する必要がある。海外収益が増えるほど、同社の信用力は韓国国内だけでなく、複数市場の規制と市場ストレスにさらされる。

4. Financial Profile and Analysis

財務面では、Mirae Asset Securitiesは2023年から2025年にかけて収益力を大きく改善した。公式財務XLSXから抽出した連結ベースの年間合算では、営業収益は2023年20.36兆ウォン、2024年22.24兆ウォン、2025年29.28兆ウォン、営業利益はそれぞれ0.52兆ウォン、1.19兆ウォン、1.92兆ウォン、親会社株主帰属純利益は0.33兆ウォン、0.92兆ウォン、1.57兆ウォンだった。2026年1Qは監査前資料ながら、営業利益1.38兆ウォン、親会社株主帰属純利益1.00兆ウォンであり、2025年までの改善が少なくとも2026年初に続いたことを示す。

指標 2023 2024 2025 2026 1Q 信用上の読み方
営業収益 20.36兆ウォン 22.24兆ウォン 29.28兆ウォン 14.43兆ウォン 2025年に大きく拡大。2026年1Qは非常に強いが、市場性収益を含むため年率化は避ける。
営業利益 0.52兆ウォン 1.19兆ウォン 1.92兆ウォン 1.38兆ウォン 2023年の低水準から大きく改善。損失吸収力と格付安定化の主要根拠。
親会社株主帰属純利益 0.33兆ウォン 0.92兆ウォン 1.57兆ウォン 1.00兆ウォン 収益性改善は明確。株主還元と資本蓄積のバランスを確認すべき。
手数料収益 1.14兆ウォン 1.31兆ウォン 1.95兆ウォン 0.73兆ウォン ブローカレッジ・商品販売の強さを示す。市場出来高と顧客フローに連動。
ブローカレッジ手数料 0.64兆ウォン 0.80兆ウォン 1.30兆ウォン 0.53兆ウォン 2025年以降の株式取引環境が追い風。収益の質を見るには残高型収益との分解が必要。

注: 2023-2025年はMirae Asset Securities公式IRの各年4Q Financial Statements XLSXから四半期連結列を合算。2026年1Qは2026年5月12日掲載の未監査四半期資料に基づく。営業収益は証券会社の総営業収益であり、一般事業会社の売上高と同じ安定性を持つものではない。

この表から最も重要なのは、2023年の低収益局面から2025年にかけて収益力が大きく戻ったことである。2023年は韓国証券会社全体で不動産・代替投資リスク、金利上昇、市場低迷、評価損・引当が重く、S&Pも2024年3月には同社アウトルックをNegativeへ変更していた。2025年には、ブローカレッジ、ウェルスマネジメント、トレーディング、海外子会社、金利環境の改善が組み合わさり、S&Pも2025年6月にアウトルックをStableへ戻した。収益改善は、資本と流動性のバッファを維持するための実質的な余力を作っている。

一方で、利益の質には注意が必要である。2025年の純利益増加はポジティブだが、証券会社では良い市況の年にトレーディング収益、評価益、売買手数料、顧客信用取引が同時に伸びやすい。本稿では2026年1Q高収益の部門別・評価損益別内訳を確認できていないため、同四半期を恒常利益の推定には使わない。信用分析では、弱い市況でも営業利益を確保できるか、損失・引当・担保需要が増えても資本比率と流動性が保たれるかを重視する。

バランスシートは、利益改善と同時に拡大している。連結総資産は2023年末128.2兆ウォン、2024年末137.2兆ウォン、2025年末150.3兆ウォン、2026年1Q末169.9兆ウォンへ増加した。資本はそれぞれ11.2兆ウォン、12.3兆ウォン、13.5兆ウォン、14.3兆ウォンであり、利益蓄積により増えている。ただし、総資産の伸びは資本の伸びより速い局面があり、2026年1Q末にはバランスシートが急拡大している。証券会社では、総資産の伸びがレポ、証券貸借、顧客預り金、デリバティブ、短期調達、担保管理を伴うため、単純な規模拡大を信用改善と読まないことが重要である。

指標 2023年末 2024年末 2025年末 2026年1Q末 信用上の読み方
総資産 128.2兆ウォン 137.2兆ウォン 150.3兆ウォン 169.9兆ウォン 2025年から2026年1Qにかけて拡大。市場業務・顧客資産・レポ等の増加を伴う可能性。
負債 116.9兆ウォン 124.9兆ウォン 136.8兆ウォン 155.5兆ウォン 負債も大きく増加。資金調達構成と満期ミスマッチが重要。
資本 11.2兆ウォン 12.3兆ウォン 13.5兆ウォン 14.3兆ウォン 利益蓄積で増加。RAC・NCR・リスク資産対比の余力を継続確認。
現金及び預け金 8.2兆ウォン 10.5兆ウォン 9.9兆ウォン 9.4兆ウォン 厚い流動性の一部。ただし法的主体別・通貨別の利用可能性は別途確認が必要。
顧客預り金等 10.9兆ウォン 12.2兆ウォン 17.9兆ウォン 21.8兆ウォン 顧客基盤の厚みを示すが、銀行預金ではなく証券顧客預り金であり、流出可能性がある。
借入負債 67.9兆ウォン 77.1兆ウォン 77.1兆ウォン 83.0兆ウォン レポ等を含む市場性調達が大きい。ロールオーバーと担保価値が信用の中心。
CP借入 2.6兆ウォン 3.2兆ウォン 3.3兆ウォン 3.6兆ウォン 短期調達の一部。市場ストレス時の依存度を監視。
レポ売却 43.3兆ウォン 48.0兆ウォン 45.9兆ウォン 49.6兆ウォン 証券会社らしい大きな調達源。担保価値、ヘアカット、ロールオーバーが重要。
派生結合証券販売残高 9.4兆ウォン 6.6兆ウォン 7.2兆ウォン 7.2兆ウォン 2023年からは低下したが、構造化商品リスクとして残る。

注: 上表は各期末の公式Financial Statements XLSXの連結財政状態計算書から抽出。顧客預り金等、借入負債、レポ、派生結合証券は会社の表示科目を信用分析用に要約している。

このバランスシート表は、同社の信用力が単なる収益力だけでなく、市場性資金調達と流動性管理に依存していることを示す。現金及び預け金は9-10兆ウォン規模で厚いが、レポ売却残高は45-50兆ウォン規模、借入負債は80兆ウォン前後であり、総資産のかなりの部分が市場性調達と担保付き取引に結びつく。したがって、信用力の急変は、損益計算書より先に、レポ市場、担保価値、CP・社債市場アクセス、顧客預り金流出、外貨流動性に表れる可能性がある。

資本面では、公式Integrated Reportが2024年末のNCRを2,858%と示している。これは韓国の証券会社規制上の自己資本余力を示す重要な指標であり、直ちに規制資本不足を示すものではない。S&Pも同社のRAC比率を今後1-2年で8.0-9.0%と見込み、十分な資本バッファを維持するとしている。ただし、RAC比率は会社開示のNCRとは異なる格付会社のリスク調整指標であり、国内規制指標が高いことだけで国際格付の制約が消えるわけではない。

株主還元も財務分析に入れる必要がある。2025 Value-up Reportでは、2024年の総株主還元比率が40%、現金配当146.7十億ウォン、自己株消却220.3十億ウォンと示されている。会社は2024-2026年の株主還元方針として最低35%の還元比率や自己株消却を掲げている。利益が強い間は還元余地があるが、収益が市場性要因で下振れる場合は、還元方針と資本バッファの優先順位を確認する必要がある。

総合すると、Mirae Asset Securitiesの財務プロファイルは、収益性改善と資本増加が明確に前向きである一方、市場型金融としての資金調達・バランスシート変動が制約として残る。2025年と2026年1Qの利益は、過去の不動産・代替投資リスクを吸収する力を高め、格付安定化を支える。しかし、総資産、レポ、借入、顧客預り金の大きさを踏まえると、同社の信用力を「利益が出ているから安全」と単純化すべきではない。信用判断では、収益の再現性、資本余力、流動性、リスク資産の質を一体で見る必要がある。

5. Structural Considerations for Bondholders

債券保有者にとって最初に整理すべき構造論点は、Mirae Asset SecuritiesがMirae Asset Financial Groupの一員でありながら、発行体としてはMirae Asset Securities Co., Ltd.である点である。2025 Integrated Reportによれば、2025年3月末時点の普通株基準で、Mirae Asset Capital Co., Ltd.が32.0%、National Pension Serviceが6.3%、NAVER Corp.が8.3%、自己株式が23.0%、その他が30.3%を保有している。Mirae Asset Capitalは大株主でありグループ関係は重要だが、グループブランドや親会社保有を、外貨債の明示保証と混同してはならない。

関係者・スコープ 役割 債券保有者への意味 注意点
Mirae Asset Securities Co., Ltd. 発行体、韓国本社証券会社、連結親会社 本稿の主な信用分析対象。単体財務と連結財務の双方が重要。 個別債券の保証、条項、発行主体は別途確認が必要。
連結子会社 香港、米国、英国、シンガポール、インド、ベトナム等の証券・投資関連子会社 収益分散と海外成長の源泉。連結財務に反映される。 現地規制、資本拘束、清算・担保、為替、親子間資金移動制約がある。
Mirae Asset Capital Co., Ltd. 主要株主、Mirae Assetグループ内の親会社的存在 グループ支援期待、ブランド、資本政策の文脈で重要。 明示保証と同義ではない。親会社信用を無条件に発行体債へ転嫁しない。
Mirae Asset Financial Group ブランド・系列金融グループ 顧客信認、事業機会、人材、海外展開の背景。 グループ全体AUMやブランド力は、発行体の債務返済原資とは別。
外貨建シニア債保有者 Mirae Asset Securitiesの発行体信用と資金調達アクセスに依存 国際格付、流動性、資本、個別条項が重要。 Offering Circular、コベナンツ、保証、劣後性は本稿では未精査。

連結財務を使うことには合理性がある。海外子会社や事業子会社は同社の収益力、顧客基盤、リスク量、資本需要を作るため、発行体の信用力を評価するには連結ベースを無視できない。一方で、発行体単体の債券保有者は、子会社にある現金、資本、顧客資産、担保、規制資本へ常に自由にアクセスできるわけではない。特に証券子会社は、各国の顧客保護、清算、担保、自己資本、流動性規制を受ける。ストレス時には、子会社の資金を親会社へ戻すことより、現地の顧客・規制当局・カウンターパーティ対応が優先され得る。

同社のグループ構造は、信用上の支えと制約を同時に持つ。グループブランド、Mirae Asset Capitalの大株主性、海外ネットワーク、Mirae Asset Global Investmentsやグループ内商品との接続は、顧客獲得や資金調達に有利に働く。一方で、グループ内の成長投資、海外事業、買収、関連会社との取引、資本配分が、発行体のバランスシートやリスク選好に影響する可能性もある。債券保有者は、グループの事業力だけでなく、その力がどの法人で生まれ、どの順位で発行体債務に届くかを見るべきである。

発行体の個別債券分析には、まだ未確認事項が多い。本稿では、外貨建シニアノートのOffering Circular、準拠法、保証の有無、negative pledge、cross default、change of control、税制上のグロスアップ、早期償還、劣後性、TLAC的な損失吸収条項の有無までは精査していない。S&Pは同社の既発行シニア無担保外貨建ノートの長期発行格付を BBB と確認しているが、個別債券投資では条項と満期を確認する必要がある。

構造上、Mirae Asset Securitiesは商業銀行の持株会社債とは異なる。債券保有者の回収原資は、市場アクセス、流動資産、資本、収益、グループ内資本配分に依存する。平時のブランド力は強いが、ストレス時に使える現金、担保化済み資産、優先的にロールされる債務を確認したい。

6. Capital Structure, Liquidity and Funding

Mirae Asset Securitiesの資本構成・流動性分析では、証券会社としてのレポ・短期借入・CP・顧客預り金・構造化商品負債を中心に見る必要がある。2026年1Q末の連結総資産は169.9兆ウォン、負債155.5兆ウォン、資本14.3兆ウォンである。現金及び預け金は9.4兆ウォンだが、借入負債は83.0兆ウォン、うちレポ売却49.6兆ウォン、直接借入12.2兆ウォン、CP借入3.6兆ウォン、派生結合証券販売残高7.2兆ウォンである。これらは、同社が十分な市場アクセスを持つ一方、市場性調達に大きく依存することを示す。

レポ調達は、証券会社にとって通常の資金源であり、残高の大きさだけで直ちに弱点とはいえない。保有証券を担保に短期資金を調達し、顧客取引、市場メイキング、在庫保有、証券貸借を支えるためである。しかし、信用ストレス時には、担保価値の下落、ヘアカット上昇、ロールオーバー期間の短縮、カウンターパーティのリスク許容度低下が同時に起きやすい。2026年1Q末のレポ売却49.6兆ウォンは、同社の資金調達能力の大きさを示すと同時に、担保管理が信用力の中核であることを示す。

CP借入と短期借入も監視対象である。CP借入は2023年末2.6兆ウォン、2024年末3.2兆ウォン、2025年末3.3兆ウォン、2026年1Q末3.6兆ウォンと増加している。絶対額は総負債に対して限定的だが、短期市場が閉じる局面では、他の短期調達と合わせて流動性圧力を生む可能性がある。S&Pも、同社が約束手形事業や米国子会社の証券貸借を積極拡大し、資金調達源と資産の満期ミスマッチが大きくなれば格下げ要因になり得ると述べている。

顧客預り金は、顧客基盤の厚みと流出可能性の双方を示す。2026年1Q末の顧客預り金等は21.8兆ウォンで、2025年末17.9兆ウォンから増加した。ただし銀行預金とは異なり、投資家の売買、出金、リスク回避、為替、海外株投資動向に左右される。流動性分析では「顧客基盤の厚み」と「発行体債務返済に使える流動性」を分ける必要がある。

派生結合証券と構造化商品は、2023年末9.4兆ウォンから2024年末6.6兆ウォンへ低下し、2025年末と2026年1Q末は7.2兆ウォン程度である。過去に韓国証券会社ではELS/DLS、海外指数、金利・株式市場急変、顧客販売、ヘッジ、外貨流動性が問題になった経緯がある。残高が2023年より低いことは前向きだが、構造化商品は市場ストレス時にヘッジ損益、担保差入れ、顧客対応、評判リスクを伴う。信用評価では、残高の水準だけでなく、商品タイプ、ヘッジ方法、外貨流動性、顧客販売管理を確認したい。

流動性管理については、2025 Integrated Reportが、NCRや流動性カバレッジ比率を含む規制比率、リスク管理委員会、統合危機管理システム、流動性ギャップや流動性比率の管理を説明している。S&Pも、同社の市場地位と多様な資金調達源が資金・流動性を支えると評価している。ただし、本稿では満期ラダー、通貨別資金調達、外貨流動性、未使用コミットメントライン、担保別ヘアカット、法的主体別流動性までは確認していない。

この制約は重要である。市場型金融発行体の信用力は、年間利益や総資本だけではなく、数日から数週間の市場ストレスに耐える流動性に左右される。株式・債券・為替が同時に動く局面では、評価損、顧客出金、担保差入れ、レポ再評価、CP市場の閉鎖、外貨調達コスト上昇が重なる。Mirae Asset Securitiesは大手証券会社として他社より市場アクセスが強い可能性が高いが、その強みはストレス時にどの程度維持されるかを、次回更新で満期・通貨・流動性バッファの詳細により確認したい。

7. Rating Agency View

格付は、同社の強い事業基盤と市場型金融としての制約を同時に示している。2025 Integrated Reportの会社概要では、2025年6月末時点の格付として、国内格付はCorporate BondsがAA、Commercial PaperがA1、国際格付はMoody'sの外貨建債がBaa2(Stable)、S&Pの外貨建債がBBB(Stable)と示されている。国内格付AA/A1は、韓国内の相対的地位と資本市場での強い信用力を示すが、国際格付BBB/Baa2と単純にノッチ比較してはいけない。国内格付と国際格付は尺度、母集団、ソブリン・制度環境、デフォルト確率の前提が異なる。

格付機関・尺度 格付・アウトルック 対象 格付上の読み方 主な制約
S&P Global Ratings BBB/A-2, Stable 発行体格付。既発行シニア無担保外貨建ノートもBBB 韓国最大の証券会社としての事業基盤、多様な資金調達、資本・流動性バッファを評価。 RAC比率、資金・流動性、投資・企業ローンの質、約束手形・証券貸借拡大。
Moody's Baa2, Stable Integrated Report上のForeign Currency Bonds 投資適格下位から中位の国際信用力として読む。 詳細リリース本文は本稿では未確認。
国内格付 Corporate Bonds AA、Commercial Paper A1 韓国内格付 国内証券会社として高い相対的位置。国内市場アクセスの支え。 国際格付とは尺度が違うため、グローバル投資家向けの絶対的信用力とは別。

S&Pの2025年6月24日リリースは、現時点の外部信用評価を理解するうえで最も有用である。S&Pは、韓国証券会社の収益改善と不動産リスクの管理可能性を理由にNegative圧力が後退したと評価している。Mirae Asset Securitiesについては、RAC比率が8.0-9.0%程度に維持される見込み、海外子会社の利益拡大、最大手証券会社としての事業基盤、多様な資金調達源を挙げている。

同時に、S&Pの格付は同社の制約も明確にしている。格下げ要因は、資金・流動性プロファイルの大幅悪化、RAC比率が継続的に7%を下回ること、企業向けローンや投資の質が大きく悪化して収益変動が急増すること、である。格上げには、RAC比率が10%超を持続し、リスク管理と資金・流動性バッファの良好な実績を維持することが必要とされている。つまり、現在のStableは「強い会社だから上方余地が大きい」という意味ではなく、収益改善とリスク管理が当面格付を支える一方、資本と流動性の制約が続くという評価である。

格付会社の見方と本稿の信用見方は概ね整合する。厚い事業基盤、国内外市場アクセス、強い足元収益は投資適格格付を支える。一方で、市場性収益、レポ・CP・短期借入、自己勘定投資、不動産・海外CRE・代替投資、構造化商品は格付上限を制約する。Stableは油断材料ではなく、監視すべき論点が資本・流動性・リスク選好へ移ったというシグナルとして読むべきである。

8. Credit Positioning

Mirae Asset Securitiesは、韓国証券会社の中では上位、国際投資適格の市場型金融発行体としては下位から中位の位置にあると見るのが自然である。韓国内では、自己資本、顧客資産、海外ネットワーク、年金、ブローカレッジ、海外株取引の規模が強く、国内格付AA/A1が示すように国内市場アクセスは強い。一方、国際格付はS&P BBB/A-2、Moody's Baa2であり、グローバル金融機関としては高格付ではない。これは、国際市場から見た市場型収益、資本のリスク調整、流動性、韓国証券会社セクター、自己勘定投資・不動産リスクが評価に織り込まれているためである。

同じ証券会社型クレジットとしては、Nomura Holdingsのようなグローバル証券グループとは規模、地域分散、破綻処理制度、TLAC、持株会社構造が異なる。一方で、信用上の問いは似ている。顧客資産・安定収益が市場型収益の振れをどれだけ吸収するか、自己勘定投資が資本をどれだけ消費するか、市場調達と担保需要がストレス時にどれだけ残るかである。

同国の金融機関と比べると、銀行よりも収益と資金調達の変動性は高い。韓国大手銀行は預金基盤、貸出、規制資本、中央銀行・預金保険制度との関係を持つ。一方、Mirae Asset Securitiesは顧客預り金やレポを持つが、それは銀行預金とは性質が違う。したがって、同じ韓国金融セクターでも、証券会社債には市場流動性、顧客取引、証券価格、構造化商品、代替投資の追加リスクプレミアムが必要になる。ただし、大手証券会社としての規模と国内資本市場での存在感により、小中規模証券会社よりはストレス耐性が高いと考えられる。

相対価値については、市場スプレッド、債券価格、利回り、OAS、同年限比較を確認していないため、割安・割高を断定しない。市場価格を確認できない段階では、定性的には「韓国最大級の証券会社として事業基盤は強いが、銀行型クレジットより市場・流動性・投資リスクが大きいBBB/Baa2発行体」と位置づけるのが妥当である。

9. Key Credit Strengths and Constraints

Mirae Asset Securitiesの第一の強みは、韓国証券会社としての規模と顧客基盤である。顧客資産601.6兆ウォン、資本13.5兆ウォン、ブローカレッジ資産357.6兆ウォン、WM商品残高224.0兆ウォン、退職年金42.4兆ウォンという規模は、単年度の取引収益だけではない顧客接点を示す。これは、資本市場が閉じた時でも一定の顧客フローと国内市場での認知を保ちやすいという意味で、資金調達アクセスと収益下限を支える。

第二の強みは、足元の収益改善である。2025年の親会社株主帰属純利益は約1.57兆ウォン、2026年1Qは約1.00兆ウォンであり、2023年の低迷から大きく改善した。これにより、自己資本の蓄積、引当・減損吸収、株主還元、海外展開、格付安定化の余地が広がっている。S&PがアウトルックをStableへ戻した背景も、セクター全体の収益改善と不動産リスクの管理可能性である。

第三の強みは、事業の多様化である。国内ブローカレッジだけでなく、WM、年金、海外株、海外子会社、インドのSharekhan、投資銀行、トレーディング、清算サービス、ETF関連ビジネスを持つ。小規模証券会社と比べれば、単一市場・単一商品の悪化に対する耐性は高い。S&Pも、海外子会社の収益増加が同社の収益性を支えると述べている。

一方で、第一の制約は市場型金融としての収益変動である。2025年と2026年1Qの利益は強いが、トレーディング、評価益、取引出来高、海外株、金利環境、不動産・代替投資、顧客リスク選好に左右される。証券会社の利益は、悪い年には短期間で縮小しやすい。したがって、現在の収益力は信用力を支えるが、将来の通常利益として機械的に固定すべきではない。

第二の制約は、バランスシートと資金調達構造である。2026年1Q末の総資産は169.9兆ウォン、借入負債83.0兆ウォン、レポ売却49.6兆ウォン、顧客預り金等21.8兆ウォンである。現金及び預け金9.4兆ウォンは厚いが、ストレス時に必要となる担保・資金流出・ロールオーバー額も大きい。資金調達源の多様性は強みだが、市場性調達依存は格付上の制約である。

第三の制約は、不動産・代替投資・構造化商品のリスクである。S&Pは韓国証券会社の不動産リスクが管理可能になったと評価しているが、海外CREや代替投資は引き続きリスクのポケットとして残る。Mirae Asset Securitiesも、不動産PF、商業用不動産、NPL、PEF、構造化商品、派生結合証券に関わる。これらは平時の収益機会だが、下落局面では評価損、引当、流動性需要、評判リスクにつながる。

第四の制約は、構造と透明性である。発行体単体、連結子会社、Mirae Asset Capital、Mirae Asset Financial Groupの関係を分けて見る必要がある。グループブランドや海外ネットワークは支えだが、外貨債の明示保証とは異なる。また、本稿では個別債券条項、満期ラダー、外貨流動性、PF・海外CREの詳細エクスポージャー、Moody's詳細レポートを確認していない。したがって、発行体レベルの信用見方と、個別債券の投資判断は分けるべきである。

10. Downside Scenarios and Monitoring Triggers

最も現実的な下振れシナリオは、国内外市場の同時悪化により、ブローカレッジ収益、トレーディング収益、評価損益、顧客資産、担保需要が同時に悪化するケースである。株式市場が大きく下落し、金利・為替が不利に動き、顧客の海外株取引が減り、レポ市場でヘアカットが上がると、損益より早く流動性と担保の圧力が出る。監視すべき指標は、四半期営業利益、ブローカレッジ資産、WM商品残高、顧客預り金、レポ残高、現金及び預け金、CP借入、外貨借入、格付アクションである。

第二のシナリオは、不動産・代替投資リスクの再燃である。国内地方不動産、PF、海外商業用不動産、非流動資産、下位トランシェ・エクイティ性投資の評価が悪化し、追加引当や減損が必要になる場合、利益と資本が同時に圧迫される。S&Pは2025年時点でリスクが管理可能との見方に変えたが、海外CREにはなおリスクのポケットがあると述べている。監視すべき指標は、減損・引当、代替投資残高、PFコミットメント、海外CREの地域・順位・評価、NCR、S&P RAC見通しである。

第三のシナリオは、短期調達・レポ・CP市場での流動性圧力である。大手証券会社であるため平時の市場アクセスは強いが、市場全体のストレスでは、資金調達期間が短くなり、担保差入れが増え、顧客出金や証券貸借の返済が重なる可能性がある。S&Pが格下げトリガーとして、約束手形事業や米国子会社の証券貸借拡大による満期ミスマッチを挙げていることは重要である。監視すべき指標は、短期借入、CP、レポ、社債償還、外貨流動性、未使用コミットメントライン、現金及び預け金、格付会社のfunding/liquidity評価である。

第四のシナリオは、海外展開と買収統合の失敗である。Sharekhan取得後のインド事業が想定通りに収益化せず、顧客離れ、費用増、規制対応、システム統合問題が発生する場合、海外成長ストーリーは収益支援ではなく資本負担になる。先進国子会社の清算・ETF・証券貸借ビジネスでも、担保・カウンターパーティ・オペレーションリスクがある。監視すべき指標は、海外子会社税前利益、資本注入、買収関連費用、のれん・無形資産、現地規制、清算・担保関連の流動性指標である。

第五のシナリオは、販売、システム、サイバー、AMLなど非財務リスクの顕在化である。複雑な金融商品、海外株取引、構造化商品、信用取引、AI・デジタル投資助言が顧客接点を増やすほど、販売管理とシステム耐性が重要になる。規制処分、顧客補償、販売停止、システム障害、内部統制開示を監視したい。

格付の監視では、S&Pの三つの条件が重要である。第一に、資金・流動性プロファイルが大幅に悪化しないこと。第二に、RAC比率が7%を継続的に下回らないこと。第三に、企業向けローンや投資の質が大きく悪化して収益変動が急増しないこと。逆に、RAC比率が10%超を持続し、リスク管理と流動性実績が強くなれば格上げ余地が生じるが、現時点ではそれを前提にしない。

11. Credit View and Monitoring Focus

Mirae Asset Securitiesの現在の信用力水準は、韓国証券会社としては高位、国際投資適格ではBBB/Baa2相当の市場型金融発行体として評価するのが妥当である。方向性は、2023-2024年の弱含みからは改善したが、2026年5月13日時点では安定寄りで、追加改善は収益の再現性と資本・流動性維持の確認待ちである。信用力の水準や方向性が短期間で大きく悪化する蓋然性は現時点では高くないが、市場急変、レポ・短期調達、自己勘定・不動産・海外CRE損失が同時に起きる場合には、損益よりも流動性と資本見通しを通じて変化が速くなり得る。

同社の信用力を支える最大の要素は、事業基盤、顧客資産、資本、市場アクセスである。2025年12月末の公式会社概要では顧客資産601.6兆ウォン、資本13.5兆ウォン、総資産150.3兆ウォンが示され、2026年1Q末には連結資本14.3兆ウォン、ブローカレッジ資産357.6兆ウォン、WM商品残高224.0兆ウォン、退職年金42.4兆ウォンが確認できる。国内証券会社としての厚い顧客基盤は、平時の収益と市場アクセスを支える。2025年の純利益約1.57兆ウォン、2026年1Qの純利益約1.00兆ウォンは、過去の不動産・代替投資リスクを吸収する能力を高め、S&PのStableアウトルックとも整合する。

ただし、同社の信用力を制約する要素も明確である。証券会社として、収益は市場出来高、トレーディング、評価損益、自己勘定投資、構造化商品、海外子会社、顧客リスク選好に左右される。資金調達も、銀行預金ではなく、レポ、CP、借入、社債、顧客預り金、担保付き取引に大きく依存する。2026年1Q末の借入負債83.0兆ウォン、レポ売却49.6兆ウォン、総資産169.9兆ウォンという規模は、平時には事業力を示すが、ストレス時にはロールオーバー、担保、ヘアカット、外貨流動性の問題として現れる。

投資家としては、同社を「韓国証券会社の中では質が高く、収益改善により格付下方圧力が後退したBBB/Baa2クレジット」と見る一方、「銀行型の安定クレジットではない」と認識すべきである。強い2025年・2026年1Qの利益は保有継続を支える材料だが、価格・スプレッドを確認しないまま追加投資判断を出すには不十分である。個別外貨債の投資前には、満期、条項、発行価格、流動性、同年限韓国金融機関債とのスプレッド、外貨流動性、個別債券の保証・劣後性を確認する必要がある。

今後の監視の優先順位は、第一に収益の質、第二に資本・RAC/NCR、第三に流動性・レポ・短期調達、第四に不動産・海外CRE・代替投資、第五に海外子会社とSharekhan統合である。特に、2026年1Qの高収益がどの程度繰り返されるかではなく、弱い市況でも利益と流動性が保たれるかを見たい。S&PのStableアウトルックは、当面の信用力が安定していることを示すが、格付維持の条件は資本と流動性にある。したがって、債券保有者にとっての中心モニタリング項目は、四半期利益の絶対額ではなく、総資産拡大に対する資本余力、短期調達の依存度、非流動・不動産リスクの減損、外貨流動性、そして格付会社が示すRAC比率の方向性である。

12. Short Summary & Conclusion

Mirae Asset Securitiesは、韓国最大級の証券会社として厚い顧客資産、WM・年金、ブローカレッジ、海外事業を持つ市場型金融発行体である。2025年から2026年1Qの収益改善とS&PのStableアウトルック回復は信用力を支えるが、銀行型の安定クレジットではなく、レポ・短期調達、自己勘定投資、不動産・海外CRE、構造化商品への感応度が残る。詳細な投資判断では、発行体信用と個別債券条件を分けて確認したい。

13. Sources

14. Unverified / Pending